データから指定項目のデータを各シートに振り分ける方法
元のデータから指定した項目列の値を基準として、その値のデータを別シートに転記する方法をご紹介します。
例として、下記の表の2列目の地区でデータをまとめて地区名のシートを作成して、そのシートに地区ごとのデータを元データから転記するコードを説明します。
実行イメージ
実行前
実行後
コードと解説
Sub 転記() Dim データ範囲 As Range Dim 条件範囲 As Range Dim 列 As Long Dim シート As Worksheet Dim i As Long Set データ範囲 = Range("A1").CurrentRegion 列 = 2 Set 条件範囲 = データ範囲.Cells(1).Offset(0, データ範囲.Columns.Count + 1) データ範囲.Columns(列).AdvancedFilter Action:=xlFilterCopy, _ CopyToRange:=条件範囲, Unique:=True Set 条件範囲 = 条件範囲.CurrentRegion For i = 2 To 条件範囲.Rows.Count 条件範囲.Cells(2, 1).Value = 条件範囲.Cells(i, 1).Value Set シート = Worksheets.Add(after:=Worksheets(Worksheets.Count)) シート.Name = 条件範囲.Cells(2, 1).Value データ範囲.AdvancedFilter Action:=xlFilterCopy, _ CriteriaRange:=条件範囲.Rows("1:2"), CopyToRange:=シート.Range("A1") シート.Range("A1").CurrentRegion.EntireColumn.AutoFit Next i 条件範囲.Clear End Sub
データの範囲を格納する変数「データ範囲」をオブジェクト型(Range)で宣言します。
3行目【Dim 条件範囲 As Range】
データの抽出条件があるセルを格納する変数「条件範囲」をオブジェクト型(Range)で宣言します。
4行目【Dim 列 As Long】
抽出条件となる(転記するデータの基準となる)項目の列番号を格納する変数「列」を長整数型(Long)で宣言します。
5行目【Dim シート As Worksheet】
データの転記先となる追加されるワークシートを格納する変数「シート」をオブジェクト型(Worksheet)で宣言します。
6行目【Dim i As Long】
データの抽出条件があるセル範囲が格納されている条件範囲の行番号を格納し、繰り返し処理で使用するカウンター変数「i」を長整数型(Long)で宣言します。
7行目【Set データ範囲 = Range(“A1”).CurrentRegion】
A1セルから始まるデータ範囲をRange【レンジ】オブジェクトのCurrentRegion【カレントリージョン】プロパティを使用してデータ範囲を参照して、オブジェクト変数の「データ範囲」にSetキワードを使用して格納します。
8行目【列 = 2】
転記するデータの基準となる項目の列番号、ここでは2列目の項目「地区」の列番号「2」を変数「列」に代入します。
9行目【Set 条件範囲 = データ範囲.Cells(1).Offset(0, データ範囲.Columns.Count + 1)】
データ範囲をCells【セルズ】プロパティで引数を1、つまりここではA1セルを参照して、参照したA1セルからOffset【オフセット】プロパティで行方向の移動は0、列方向はColumns【カラムズ】プロパティで列を参照しCount【カウント】プロパティで列数を取得してその列数に1を加算した列、つまり、ここでは「データ範囲.Cells(1).Offset(0,5)」になり、A1セルから数えて5列目を参照することになります。つまり、データ範囲の最終列D列の2列先のF1セルが参照されたことになります。そのセルをオブジェクト変数の「条件範囲」にsetキーワードを使用して代入します。
10行目~11行目【データ範囲.Columns(列).AdvancedFilter Action:=xlFilterCopy, _
CopyToRange:=条件範囲, Unique:=True】
データ範囲の列をColumns【カラムズ】プロパティで参照します。
引数に変数「列」を設定します。ここではデータ範囲の2列目の地区の列を参照します。参照した列にフィルターオプションの設定を表すAdvancedFilter【アドバンスドフィルター】メソッドを実行します。
データの抽出先を表す引数Action【アクション】には引数CopyToRange【コピートゥレンジ】で指定したセル範囲にデータをコピーして抽出するを表すxlFiltercopyを設定し、その抽出先を表す引数CopyToRange【コピートゥレンジ】には、オブジェクト変数「条件範囲」を指定します。
重複しているデータを抽出するかどうかを設定する引数Unique【ユニーク】にTrueを設定して、重複している値は抽出しない設定にします。つまり、2列目の地区のデータの重複する値をのぞいてデータをコピーし、オブジェクト変数「条件範囲」に格納されているF1セルを基準にして地区列のユニーク(重複のない)なデータを貼り付けています。
12行目【Set 条件範囲 = 条件範囲.CurrentRegion】
AdvancedFilter【アドバンスドフィルター】メソッドで抽出したデータ範囲をF1セルが格納されているオブジェクト変数「条件範囲」のデータ範囲を参照するCurrentRegion【カレントリージョン】プロパティを使用してF1セルから始まるデータ範囲を取得して、オブジェクト変数「条件範囲」にsetキーワードを使用して代入します。
13行目【For i = 2 To 条件範囲.Rows.Count】
For Next【フォアネクスト】ステートメントを使用して、繰り返し処理の始まりです。F1セルから始まるデータ範囲が格納されているオブジェクト変数「条件範囲」つまり、AdvancedFilter【アドバンスドフィルター】メソッドで抽出した地区のユニーク(重複の無い)なデータ範囲を行を表すRows【ロウズ】プロパティで参照して、Count【カウント】プロパティでそのデータ範囲の行数を取得します。そして2~データ範囲の行数を繰り返し処理の中でカウンター変数「i」に順次代入します。
14行目【条件範囲.Cells(2, 1).Value = 条件範囲.Cells(i, 1).Value】
オブジェクト変数「条件範囲」に格納されている、1列目のカウンター変数「i」行目のセルの値をオブジェクト変数「条件範囲」の1列目の2行目に繰り返し処理の中で順次代入します。
15行目【Set シート = Worksheets.Add(after:=Worksheets(Worksheets.Count))】
Worksheets【ワークシーツ】コレクションのAdd【アド】メソッドを使用して新しいワークシートを追加して、オブジェクト変数「シート」にSetキーワードを使用して代入します。
16行目【シート.Name = 条件範囲.Cells(2, 1).Value】
追加した新しいシートが格納されている、オブジェクト変数「シート」のName【ネーム】プロパティにオブジェクト変数「条件範囲」の1列目の2行目のセルの値を設定します。つまり、F2セルに設定されている地区の名前を新しいシート名として設定します。
17行目~18行目【データ範囲.AdvancedFilter Action:=xlFilterCopy, _
CriteriaRange:=条件範囲.Rows(“1:2”), CopyToRange:=シート.Range(“A1”)】
データ範囲に、フィルターオプションの設定を表すAdvancedFilter【アドバンスドフィルター】メソッドを実行します。データの抽出先を表す引数Action【アクション】には引数CopyToRange【コピートゥレンジ】で、指定したセル範囲にデータをコピーして抽出するを表すxlFiltercopyを設定し、その抽出先を表す引数CopyToRange【コピートゥレンジ】には、新しく追加したワークシートを表すオブジェクト変数「シート」のA1セルを指定します。
ワークシート上に作成した抽出条件を表す引数CriteriaRange【クライテリアレンジ】にはオブジェクト変数「条件範囲」のRows【ロウズ】プロパティで1行目と2行目を指定します。
条件範囲の1~2行目の値の条件でデータ範囲からAdvancedFilter【アドバンスドフィルター】メソッドでデータを抽出し、新しく追加したシートのA1セルに抽出したデータを貼り付けます。
19行目【シート.Range(“A1”).CurrentRegion.EntireColumn.AutoFit 】
オブジェクト変数「シート」に格納されているワークシートのA1セルを基準に、CurrentRegion【カレントリージョン】プロパティでデータ範囲を参照してそのすべての列を表すEntireColumn【エンターカラム】プロパティで全体列を参照しAutoFit【オートフィット】メソッドを使用して列幅を調整します。
20行目【Next i】
13行目~ここまでの処理をオブジェクト変数「条件範囲」の行数分繰り返します。
21行目【条件範囲.Clear】
繰り返し処理を抜けたあと、データ範囲に作成したオブジェクト変数「条件範囲」に格納された、セル範囲をClear【クリア】メソッドを使用して削除します。
以上で、データから指定項目のデータを各シートに振り分ける方法についての解説を終了します。ありがとうございました。